AGA治療薬の種類は何種類?作用機序と副作用について
オオサカ堂やアイドラッグストアなどいった、個人輸入代行サイトを見てみると、数多くのAGA治療薬の名前がずらりと並んでいます。どれを使えばいいのかわからない人は、その成分を見るといいでしょう。
フィナステリドの効果(作用機序)
プロペシア錠は「5α還元酵素阻害薬」と称される薬剤の一つであり、男性型脱毛症(AGA)の治療に最も多く用いられている薬です。有効成分のフィナステリドには、AGAの原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の合成を促す5αリダクターゼII型の働きを阻害して、毛髪の成長を促すという働きがあります。
Dクリニック プロペシア錠(フィナステリド)
成分名フィナステリドは「5α還元酵素Ⅱ型阻害薬」で、「フィナロイド」や「プロペシア」という薬品名で販売されています。
5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があると言われており、フィナステリドは髭や前頭から頭頂毛の毛乳頭細胞に分布している5α-リダクターゼⅡ型を抑制する働きを持ちます。5αリダクターゼⅡ型を阻害すると、脱毛シグナルを出すジヒドロテストステロンへの変換をさせないので、抜け毛を予防する効果があります。
これにより、ヘアサイクルを乱していたジヒドロテストステロンは変換されないため、正常なヘアサイクルで髪の毛を育むことができます。AGA(男性型脱毛症)によって乱れて、すぐ抜けてしまうようになった髪の毛も正常に抜けるようになると言えるでしょう。
しかしヘアサイクルが乱れたことによって、髪の毛が細く短いものしか生えてきていない程、AGAが進行していた場合、ミノキシジルで髪の毛を成長させ、フィナステリドで抜け毛を予防する必要があります。
フィナステリドの副作用
副作用の症例 | 副作用率(総症例276例) |
リビドー減退 | 1.1%(3例) |
勃起機能不全 | 0.7%(2例) |
フィナステリドを服用すると、稀に性機能に関して障害が発生することが報告されています。性欲の減退や勃起不全といった副作用ですが、発生率は1%前後で、そこまで高くはないと言えます。とは言うものの、フィナステリドには性機能に関する副作用があることは覚えておきましょう。
また副作用ではありませんが、フィナステリドは妊娠している女性やその可能性のある女性、また授乳中の女性は触れることが禁忌とされています。
妊活をしている人達に関して言うと、キスや性行為ではフィナステリドの影響を受けないと言われてはおりますが、女性のパートナーが触れてしまったり、妊活の妨げになったりしてしまわないように、数ヶ月前から服用をやめるように医師から指示が出ると思います。自身が妊活をすることは、AGAクリニックの医師にきちんと伝えるべきでしょう。
本剤を妊婦に投与すると、本剤の薬理作用(DHT低下作用)により、男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼすおそれがある。
フィナステリド錠0.2mg「武田テバ」
フィナステリドは男性ホルモンの一種である、ジヒドロテストステロンの生成を抑制してしまいます。妊婦が接触してしまうことで、胎児の生殖器官等に何らかの悪影響が出る可能性も。同様の理由で、子供にも触れさせてはいけませんので、取り扱いには十分に注意しましょう。
AGA治療薬主成分その2 デュタステリドの効果(作用機序)
ザガーロはⅠ型、Ⅱ型両方の経路をブロックするためプロぺシアに 比べ有意にDHTの産生を抑えることができます。その結果、ザガーロにはプロぺシア以上の毛髪改善効果が期待できます。
新宿西口クリニック東京西新宿 プロぺシアより強力なDHT抑制効果
デュタステリドとは成分名で、薬としてはザガーロまたはアボルブの2種類をよく見かけると思いますが、AGA治療で使用される薬はザガーロと呼ばれるものです。ザガーロは2016年に発売された比較的新しいAGA治療薬で、取り扱っているAGAクリニックも多くなってきました。
成分名デュタステリドの作用機序は、フィナステリドと同じ5α還元酵素阻害です。フィナステリドとデュタステリドの違いは、効果的に阻害する5αリダクターゼの種類が異なることです。
前述したとおり、フィナステリドは前頭から頭頂毛の毛乳頭細胞に分布しているⅡ型に効果的対して、デュタステリドはⅡ型と全身の毛乳頭細胞にあるとされているⅠ型のどちらにも効果があるとされています。
デュタステリドとフィナステリドの違い・副作用について
デュタステリドとフィナステリドを比較すると、フィナステリドよりもデュタステリドの方がⅡ型だけではなくⅠ型にも効果的なのであれば、最初からデュタステリドを処方すればいいのではないかと思いますが、デュタステリドはフィナステリドよりも副作用の発症率が高いと言われています。
副作用の症例 | 副作用率(総症例120例) |
勃起不全 | 13例(10.8%) |
リビドー減退 | 10例(8.3%) |
精液量減少 | 5 例(4.2%) |
国内長期投与試験において、本剤が投与された総症例120例中20例(16.7%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、勃起不全13例(10.8%)、リビドー減退10例(8.3%)、射精障害 5 例(4.2%)であった(承認時)。
ザガーロカプセル 添付文書
フィナステリドの副作用として、一番多く報告されているリビドー減退の1%前後に比べ、デュタステリドは8%とやや高い傾向にあります。もちろん、総症例数が倍違いますので正確な数字ではないですが、それでも副作用の発生する確率が高いのは事実です。
フィナステイド・デュタステリドの副作用 女性への接触は禁忌
さらに注意が必要な項目として、ザガーロもフィナステリドも、男性ホルモンである成分を阻害する薬ですので、女性が接触することでさえ禁忌とされている薬になります。これはフィナステリドもデュタステリドも経皮吸収(成分が皮膚から直接皮下組織や血中に浸透する投与経路)されると言われているからです。
注意事項
新薬情報オンライン ザガーロ(デュタステリド)の作用機序【男性型脱毛症(AGA)】
ザガーロ(デュタステリド)もプロペシア(フィナステリド)も男性ホルモンであるテストステロンからDHTへの変換を阻害する薬剤です。
従って、女性の脱毛症「女性男性型脱毛症(FAGA)」に対しては使用することができませんのでご注意ください。
女性が触れることで、そもそも少ない男性ホルモンとのバランスが崩れてしまう可能性があります。ホルモンバランスが崩れてしまうと、フィナステリドに接触した場合に限らず頭痛や動悸、ひどくなると生理不順や不妊などの疾患にもつながる可能性が高くなるでしょう。
ホルモンバランスが崩れるそういった理由から、女性の男性型脱毛症(FAGA)ではフィナステリドやデュタステリドは服用ができません。
多くのAGA治療クリニックや皮膚科医院に勤める医師が、フィナステリドに対する女性への接触に関して注意を促しています。
プロペシアは男性ホルモンに作用して薄毛を改善する治療薬です。女性はもともと体内の男性ホルモンがあまり多くないため、服用することでホルモンバランスが乱れる恐れがあります。
女性の薄毛研究室(AGAスキンクリニック レディース院監修)
ホルモンバランスの乱れは頭痛や吐き気などのさまざまな不調のきっかけとなるだけでなく、さらなる薄毛や抜け毛を引き起こす可能性もあります。そのため、女性がプロペシアを服用することは身体に悪影響を及ぼすといえるでしょう。
【医師監修】女性はプロペシアを飲めるのか。プロペシアが女性に与える影響とは
フィナステリドはAGA治療の基本の治療薬です。まず初めに処方されるAGA治療薬といっても過言ではないでしょう。そのため、多くのAGA治療を受診する人に処方されます。
フィナステリドもデュタステリドも錠剤タイプで大きさも特別大きいわけではありませんが、錠剤タイプが苦手なため錠剤を砕いて服用する人もいるかと思います。女性のパートナーがいる場合は、フィナステリド錠剤やデュタステリド錠剤を砕いて使用することは控え、取り扱いに十分気を付けておくべきでしょう。
AGA治療薬主成分その3 ミノキシジルの効果(作用機序)
ミノキシジルはもともと高血圧の人が服用する血圧降下剤として開発されましたが、臨床試験中に副作用として多毛症(体毛が濃く、異常に発毛する症状)が見られたため、薄毛治療薬として転じられました。
ミノキシジルは、日本国内で唯一発毛効果があるとされている成分で、大正製薬のリアップやアンファーのメディカルミノキといった、発毛剤のCMで聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
ミノキシジルは、毛包に直接作用し、細胞の増殖やタンパク質の合成を促進することによって発毛作用を示します。ヘアサイクルに変化が起こり小さくなった毛包を大きく深く成長させることにより、細く軟毛化した毛髪を太い毛に成長させます。
大正製薬株式会社 ミノキシジルの作用と効果データ
ミノキシジルには毛包に直接働きかける作用があると言われており、毛髪の細胞の元となっている毛母細胞を活性化させます。毛母細胞とは、毛乳頭細胞からの発毛指令を受けて細胞分裂をする細胞です。毛母細胞が細胞分裂すると、新しい細胞が古い細胞を押し上げるような形で伸びていきます。毛包が活性化するということは、乱れたヘアサイクルによってミニチュア化した毛包が再び、元のように正常な毛包になるということです。
フィナステリドやデュタステリドとは違い、ミノキシジルは内服薬であって外用薬であっても、男女両方に効果がある治療薬になります。
ミノキシジルタブレットの処方について
国内での認可を得ているのはミノキシジルの塗り薬のみで、飲み薬のミノキシジルタブレットは認可されていません。国内で医師が患者に処方するのは、「インフォームドコンセント」によってです。
インフォームドコンセントとは、大まかに言えば医師の説明により患者が自分の意思で処方を希望する方針のことで、これにより医師はミノキシジルを処方するかしないかを判断しているようです。確かに風邪などでかかる一般の内科の説明は、症状を伝えると「この薬だしておきましょう」という医師の判断で薬を処方しますが、AGA治療では医師による薬の説明がきちんとなされますね。
ミノキシジルの副作用について
関係部位 | 症状 |
皮膚 | 頭皮の発疹、発赤 ふけ、かぶれ、かゆみ 使用部位の熱感等 |
精神神経系 | 頭痛、めまい 気が遠くなる |
循環器 | 胸の痛み 心拍が速くなる |
代謝系 | 原因不明の体重増加 手足のむくみ |
ミノキシジルは血管拡張の作用もあるため、動悸やかゆみなどが発生します。また、ミノキシジルの内服薬(ミノキシジルタブレット)は、因果関係は判明していないものの性的不能、勃起障害、腎性全身線維症や臓器不全等といった重篤な副作用が発症する可能性があると言われている薬です。高血圧の降圧剤として開発されてきましたが、循環器系への副作用が強いため、降圧剤としても使用されなくなっていきました。
ミノキシジルの初期脱毛とは
ミノキシジルの作用により、毛母細胞が活性化すると、毛包が正常化されて太く長い毛に成長していきます。その作用は休止期の毛ではなく、新しく生えてきている毛髪に起こるので、新しい毛髪が育ち、休止期の毛髪が押し出されるため、AGAによって細く短くなってしまった毛が抜けます。
正常に成長している髪の毛が、同じ毛穴で細く短くしか成長できなかった髪の毛を脱毛させるので、一時的に抜け毛が増えたように感じてしまうのです。これはミノキシジルを取り入れるとほとんどの人が起きると言われている「初期脱毛」になります。
AGA治療薬の組み合わせは2種類
さて、AGA(男性型脱毛症)には「フィナステリド」と「デュタステリド」、「ミノキシジル」の3種類の成分によって治療すると述べてきましたが、AGA治療として服薬するのは2種類、AGA(男性型脱毛症)の進行状況によっては1種類です。
AGAの進行が進んでいる人(髪の毛が細く短くなってしまい、頭皮が透けて見えるような人)は、フィナステリドまたはデュタステリドで抜け毛を予防し、ミノキシジルで発毛させる働きでAGAを治療していきます。
抜け毛の予防を希望する人は、5α還元酵素阻害薬であるフィナステリドかデュタステリドで治療を開始します。AGA(男性型脱毛症)の初期の段階であれば、発毛薬であるミノキシジルを使わずとも、フィナステリドかデュタステリドによって抜け毛は減少するので、ヘアサイクルが乱れることを防いでくれるでしょう。
また、ミノキシジルと併せて服用していたが、髪の毛が太く長く成長できるようになった段階で、ミノキシジルの服用を中止し、フィナステリド(またはデュタステリド)のみの服用にシフトチェンジしていきます。
男性ホルモンと5αリダクターゼが結びつくことで変換されるジヒドロテストステロンは、還元酵素阻害薬を服用している間でしか阻害されないので、抜け毛を防ぐためには服用を継続する必要があるからです。
ミノキシジルの副作用や服薬期間なども含め、きちんと医師の判断のもとAGA治療をした方がいい理由は沢山あります。個人輸入の方が安価で楽にAGA治療薬が手に入るかもしれませんが、重篤な副作用や薬の偽物の可能性もある以上、知識を持たない人が服用するには危険です。